あきちゃんの結婚奮闘記 ①
あきちゃん(仮名)はちょっと遅めの36歳で結婚しました。
出会いから結婚まではすったもんだの5年間でしたが、ふたりの思いは出会った時から変わらず、とても強い絆で結ばれていたのでした。
そんなふたりの物語です。
高齢出産で生まれたあきちゃんは、老夫婦から様々な教訓を学びながら育ちました。
小学校3年生になると家庭の家事を全てにこなせるようになり、学校でもしっかり者として先生からも生徒たちからも頼られる人気者になりました。
ある日、あきちゃんは母親から貯金通帳と印鑑を渡され「これからうちの家計はあきちゃんがしっかり守っていくんだよ」とお金の管理まで任されるようになりました。
あきちゃんの両親は自宅兼職場で理髪店を営んでいました。
遊びも勉強も家事も一生懸命のあきちゃんは、いつからか両親と同じ理容師にあこがれるようになり、高校卒業後は美容理容専門学校に通い、理容師の資格を取得。
アシスタントとして自宅の理髪店を盛り上げるだけでなく、
友人たちからの依頼で結婚式のヘアメイクを担当する仕事も増えてきました。
地元のホテルや式場から依頼を受けるようになり、あっというまに有名なヘアメイクアーティストになったのです。
おまけに、あきちゃんはとても恵まれた容姿に生まれてついていて、
身長175センチの細身で、手足も長く目鼻立ちもはっきりしていたのでモデル事務所からもスカウトされました。
本業のヘアメイクの仕事の合間にスチールモデルやショーモデルとしても仕事がありました。
動き回ることが大好きなあきちゃんは、自宅の理髪店は両親に任せ
ヘアメイクにモデルにと入ってくる仕事で休む間もなくあちこち飛び回っていました。
そんなある日、ある式場でヘアメイク担当になったのがきっかけで、撮影に入っていた5つ年下のカメラマンに声をかけられました。
このカメラマンも長身のイケメン。
実は何度か一緒に仕事をしていたようなのですが、あきちゃんは自分の仕事しか見えていないのでこのカメラマンのことは全然覚えてもいませんでした。
それでも仕事上ではまた会う可能性が高いので名刺交換をし、プライベートでも会うようになりました。
ふたりがが出会って何年か経ったころ、
あきちゃんはカメラマンからプロポーズされました。
びっくりしたあきちゃん。
結婚なんて全然意識していなかったのです。
自分は一人っ子だからいずれは婿養子を探そうとは思っていたけど、
今は仕事が面白いし、忙しい。
第一カメラマンは5歳も年下、弟みたいにしか思っていませんでした。
当然プロポーズはお断り。
でもあきちゃんももう30歳を越えていました。
このことがきっかけで、結婚のことを真剣に考えるようになりました。
ただし、家を絶やしてはいけないので婿養子。
本当にしっかり者のあきちゃん。
両親を安心させるために奮闘する日々が始まったのでした。